レガシオン #02「エビータ」
こうして1年前、遊貴はエビータとはじめて現実世界で会い、「オクタピア・ファンタジーワールド」の「レガシオン」に初挑戦した。
「お~~フィッシュだよな!?いや~想像以上にもやし野郎だな!もっと魚食ってカルシウム取れよ~!」
初対面だというのに異常にハイテンションで興奮していた印象だったが、ゲーム上で話す以上に、冗談交じりに明るく話すフレンドリーで爽やかな青年・エビータに遊貴は安心していた。
「エビータ、ごめん。やられちまったよ。。」
「レガシオン」ステージ9、遊貴は敵の攻撃でHPが0になりゲームオーバーとなってしまい、悔しい気持ちで表情が暗くなっていた。
「どんまいどんまいぃ!!後は俺に任せとけって~!ちょっくら最上階クリアしてくるから下でまったりしとけ~!」
エビータはそれまでの戦闘の疲れも全くと言っていい程出ておらず、むしろ興奮状態である印象を受けた。
しかしその言葉を最後に、いつまで待ってもエビータはエントランスへ降りてこなかった。
以降、エビータとは連絡がつかず、彼は「レガシオン」はおろか「イグノーヴァ」にすらログインしなくなった。