2030年の人手不足644万人:働くのが苦でない社会を目指すべし
2018/10/23、2030年の人手不足が全国で644万人になるとの見込みが発表された。
今回はこの問題について、私なりの見解を述べる。
2030年には人手不足が一段と深刻化し、その数は全国で644万人と、去年の5倍余りになるという民間の推計がまとまりました。
この推計は、民間のシンクタンクの「パーソル総合研究所」と、中央大学が共同でまとめました。それによりますと、日本経済が今とほぼ同じペースで成長を続けた場合、2030年には7000万人余りの働き手が必要になる一方、実際に確保できるのは6400万人余りにとどまり、全国で644万人の人手不足が生じるということです。
これは、厚生労働省が発表した去年6月時点の人手不足の推計値の5倍を超える規模となります。
外食などの「サービス」が人手不足深刻
産業別に見てみると、最も人手不足に陥るのが外食などの「サービス」が全体の6割に当たる400万人。
次いで「医療・福祉」が187万人。
そして「卸売り・小売り」が60万人と続く。
都心部の人手不足が深刻
都道府県別で見てみると、最も不足するのが東京都の133万人。
次いで神奈川県の54万人。
そして千葉県と愛知県の36万人などと推計していて、サービス業の需要が比較的高い都市部で、人手不足の傾向が強くなると見ている。
人手不足解消のキーとなる4つの対策
人手不足の解消に向けて、パーソル総合研究所と中央大学は、以下の4つの対策が必要だと提言。
「働く女性を増やす」
「働くシニアを増やす」
「働く外国人を増やす」
「生産性を上げる」
私はこの中で、「働くシニアを増やす」というのは現実的に難しいのではと思う。
というのも、高齢者になればなるほど身体的な老化もあり、働くことが難しいだろう。
更に定年まで勤め上げ、やっと仕事から解放され老後の生活を満喫している高齢者が働くだろうか。
もう一つ、「働く女性を増やす」とあるが、
夫の所得が高く、共働きせずとも”専業主婦”として生活が成り立っている女性もわざわざ働くとは思えない。
対策①:失業者、無業者の雇用
私は上記の対策に加え、下記の統計および推計から、国内の完全失業者、若年無業者、SNEPの人数約400万人の人材活用が必要と考える。
この数の労働力を不足している業界で雇用できれば、人手不足の解消に大きく繋がることは間違いない。
参考元:統計省統計局 労働力調査(基本集計) 平成30年(2018年)8月分結果
・15~34歳の若年無業者 約60万人<平成26年版>
・15~34歳のひきこもり 推計約69.6万人<平成26年版>
参考元:内閣府 平成26年版 子ども・若者白書(全体版)
・SNEP(孤立無業者) 推計約160万人<2013年>
参考元:東京大学社会科学研究所 玄田 有史 2013 年 1 月
対策②:働き方の多様性、働き方改革、賃金改正
現代社会では、正社員に求められることが多すぎて、働くことへのハードル、働くことが嫌になってしまった人間が少なくないと思う。
私は疑問に思う。
なぜ週5日8時間労働だけが正社員なのか。
週3日、週4日でも正社員で良いではないか。
あるいは週5日一日5~6時間労働でも良いではないか。
なぜいつまでも戦後から変わらぬ価値観で労働時間を是正しようとしないのか。
そして同じような仕事をしていながら正社員と非正規ではなぜ賃金に差が出すぎているのか?
賞与の有無はもちろん、時給換算でも非正規労働者と正社員の賃金格差は大きい。
これでは馬鹿馬鹿しくて働く気にならない者が多くても当然だ。
対策③:ブラック企業の淘汰、過剰サービスの撤廃
上述の労働時間も含め、働くことにより健康で文化的な最低限度の生活が営めない労働者が多いのではないか。
だからこそサービス残業や過労死、うつ病という事象が多発しているのではないか。
雇用者優位の社会だからこそこんな事態になっていると思う。
税金さえ納めれば政府はそれでいいのか?
ブラック企業と呼ばれる違法な労働環境の会社には、徹底したペナルティを与えるべきだ。
国税調査ならず国労調査を強制実行すべきだろう。
もう一つは、過剰サービスの撤廃。
「おもてなし」と言えば聞こえはいいが、実態はクレーマーを容易に生み出す”お客様は神様”という異常なサービス精神だ。
これこそ労働者の負担になっており、仕事の効率が悪くなる要因の一つだろう。
完璧を求められすぎたら、そりゃぁ働く方もしんどい。
モンスター○○が横行し、精神を病む人間も少なくない。
もっと適当でいいじゃないか
願わくば、日本人全体が良い意味で”適当”になってほしいと願う。
さすれば働きやすい社会、働くのが苦でない社会になり、
現在働いていない人間も社会復帰し、人手不足の問題解決に繋がることだろう。