「え、これ実話なの…?」
映画やドラマを観ていて、そんなふうに思ったことありませんか?
本記事では、実際に起きた事件を元に制作された日本の映画・ドラマを30作品ピックアップし、その元ネタの事件や背景まで詳しく紹介します。
前編ではまず、殺人や誘拐、詐欺など、社会を大きく揺るがした衝撃の事件をテーマにした作品を中心に、1〜15作品目をお届け。
観る前に知っておけば、作品の見え方がきっと変わるはず。

1. 『地面師たち』(著:新庄耕/2019年)
- 作品のあらすじ
なりすまし、偽造書類、偽の権利者……すべては「土地」という巨大な金を動かすため。ある事件で妻子を亡くした拓海は、大物地面師・ハリソン山中のもとで不動産詐欺を行っていた。次に狙うのは市場価値100億円という前代未聞の物件。一方、定年間近の刑事・辰は、彼らを追ううちにハリソンが拓海の過去に関わっていたことを知る。一か八かの詐欺取引、難航する捜査。双方の思惑が交錯した時、衝撃的な結末が明らかに──。 - 元となった事件・背景
2017年に起きた「五反田55億円地面師詐欺事件」。積水ハウスが土地購入の契約を進める中、実在する所有者になりすました偽の売り主たちにより、約55億円が騙し取られた。事件には多数の偽造書類、司法書士の偽装、巧妙な役者の演技などが用いられ、史上最大級の地面師詐欺として大きな話題に。
Netflix
https://www.netflix.com/jp/title/81574118
2. 『日本で一番悪い奴ら』(著:織川 隆/2016年)
- 作品のあらすじ
正義感に燃えて警察官になった道警の若者・諸星は、検挙率を上げるために“裏の世界”と繋がっていく。覚醒剤、銃、密輸……やがて彼は「悪」を使って「正義」を貫こうとし、自らも取り返しのつかない深みへ堕ちていく。どこまでが正義で、どこからが犯罪か?揺れる境界を描いた実録クライムドラマ。 - 元となった事件・背景
北海道警察で実際に起きた「稲葉事件」がベース。刑事・稲葉圭昭が覚醒剤の密売、証拠捏造、暴力団との癒着などを行い、その一部始終を自ら著書で告白。映画はその実録をもとに、実名こそ変えているが事件の経緯や内部事情をほぼ忠実に再現している。


Hulu
https://www.hulu.jp/twisted-justice
3. 『冷たい熱帯魚』(監督:園子温/2010年)
- 作品のあらすじ
真面目な性格の熱帯魚店店主・社本は、同業者の明るく強引な男・村田と出会い、奇妙な関係に巻き込まれていく。ビジネスの拡大、家族の崩壊、そして気づけば殺人の共犯へ――。狂気に満ちた“裏の顔”に支配されていく社本の運命を、ショッキングかつ不気味に描いた作品。 - 元となった事件・背景
1993年に発覚した「埼玉愛犬家連続殺人事件」。ペットショップ経営者の男女が、複数の顧客や関係者を殺害・遺体を解体して処理していたという戦慄の事件。金銭トラブルを発端とし、実際に複数人がバラバラにされて遺棄された。園子温監督はこの事件の異常性に着想を得て脚本を執筆。
Netflix
https://www.netflix.com/jp/title/70151002
4. 『凶悪』(著:「新潮45」編集部/2009年)
- 作品のあらすじ
雑誌記者のもとに届いた、死刑囚からの告発状。そこに書かれていたのは、自分は“実行犯”に過ぎず、未だ世の中で普通に暮らしている“真の主犯”がいるという事実だった――。記者は真相を暴こうと動き出すが、その先にはあまりに凄惨で、凶悪な現実が待ち受けていた。 - 元となった事件・背景
「上申書殺人事件」と呼ばれる実際の未解決事件群。死刑囚・小林竜司が複数の殺人への関与と、共犯者である暴力団関係者“先生”の存在を手紙で告発。その告発をもとに取材を続けた雑誌記者が、実際に事件の一端を暴いた。映画はこの実話を元に構成されている。

Hulu
https://www.hulu.jp/the-devils-path
5. 『全員死刑』(著:鈴木智彦/2017年)
- 作品のあらすじ
金がない。返済もできない。ならば殺して奪え――。そんな単純で狂気に満ちた思考のもと、家族ぐるみで強盗殺人を実行する一家。歯止めの利かない暴走の中で、やがて一家は破滅の道をたどる。実話とは思えないほど荒唐無稽で、しかし確かに存在した“日本で最も狂った一家”の物語。 - 元となった事件・背景
2004年、福岡県大牟田市で発生した「大牟田4人殺害事件」。暴力団関係者の一家4人が、金銭目的で複数の知人を殺害し、遺体を遺棄。家族全員が殺人に加担し、全員が死刑または無期懲役という結末に至った、日本犯罪史上でも異例の事件。


6. 『MOTHER マザー』(著:山寺 香/2017年)
- 作品のあらすじ
ろくに働かず、男遊びを繰り返す母・秋子。その息子・周平は、歪な家庭環境の中で母を盲信し、暴力と支配に慣らされていく。そしてある日、母の言葉をきっかけに、彼は決して戻れない一線を越えてしまう……。親子関係が生んだ“共犯”のリアルを描いた衝撃作。 - 元となった事件・背景
2014年に大阪府寝屋川市で起きた「中1男女殺害事件」。母親とその交際相手によるDVと洗脳の末、少年が同級生を殺害した。家庭内での支配関係、ネグレクト、教育放棄など、複数の社会問題を孕んだ事件として注目された。
※原案『誰もボクを見ていない: なぜ17歳の少年は、祖父母を殺害したのか』

Netflix
https://www.netflix.com/jp/title/81292901
7. 『八つ墓村』(著:横溝正史/1971年)
- 作品のあらすじ
田舎の村に伝わる呪いと惨劇。その村にルーツを持つ青年が、祖先にまつわる血塗られた過去と連続殺人に巻き込まれていく。異常な風習、閉鎖的な村社会、怨念……昭和ミステリーの金字塔にして、ホラーのような緊張感を持つ怪奇サスペンス。 - 元となった事件・背景
1938年、岡山県津山市で発生した「津山三十人殺し事件」。旧日本軍を除隊した青年が村人30人以上を一夜で射殺した、日本犯罪史上最悪クラスの大量殺人。精神的孤立、村八分、恋愛関係のもつれが背景にあり、横溝正史がこれを知って着想を得たとされている。


Hulu
https://www.hulu.jp/village-of-eight-gravestones
8. 『警視庁麻薬取締課 MOGURA』(監督:志真健太郎/2025年)
- 作品のあらすじ
警視庁麻薬取締課、通称“MOGURA”。その捜査官・伊弉諾 翔吉は、違法薬物の密売ルートを追い、ひとりクラブシーンに潜入する。接触するのはラッパーやクラブ関係者、裏社会の人間たち。潜入捜査の緊張と葛藤、そして社会に対する不信と孤独を抱えながら、伊弉諾は「正義」という名の闇に身を投じていく――。 - 元となった事件・背景
モデルは実在する「警視庁薬物銃器対策課」、通称“MOGURA(モグラ)”。90年代には、薬物密売人がクラブや芸能関係者を介して拡散していた事件が多発。潜入捜査・張り込み・偽装など、リアルな現場手法がそのままドラマ化されている。特に、1996年〜2000年前後は芸能人逮捕や暴力団とのつながりが連日報道され、社会問題としても注目された。
Netflix
https://www.netflix.com/jp/title/82010936
9. 『誰も知らない』(監督:是枝裕和/2004年)
- 作品のあらすじ
母親に置き去りにされた4人の兄妹が、社会から孤立しながらも懸命に生き抜こうとする姿を描いたヒューマンドラマ。子供たちの視点から、現代社会の闇や家族の絆を深く掘り下げています。 - 元となった事件・背景
1988年に東京都豊島区で発生した「巣鴨子供置き去り事件」を基にしています。この事件では、母親が子供たちをアパートに残して失踪し、子供たちは長期間にわたり自力で生活を続けていました。映画はこの実話をもとに、子供たちの視点から社会の問題点を浮き彫りにしています。

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10. 『恋の罪』(監督:園子温/2011年)
- 作品のあらすじ
東京・渋谷で起きた女性の猟奇的な殺人事件を背景に、3人の女性の交錯する運命を描いたサスペンスドラマ。彼女たちの秘められた欲望や罪が明らかになっていきます。 - 元となった事件・背景
1997年に発生した「東電OL殺人事件」をモチーフにしています。この事件では、一流企業に勤める女性が夜の街で客引きをしていた末に殺害されるという衝撃的な内容で、社会に大きな波紋を広げました。映画はこの事件を題材に、女性の二面性や社会の闇を描いています。

Hulu
https://www.hulu.jp/guilty-of-romance
11. 『I am ICHIHASHI 逮捕されるまで』(監督・主演:ディーン・フジオカ/2013年)
- 作品のあらすじ
イギリス人女性殺害事件の犯人である市橋達也自身が、逃亡生活を続ける中での心情や葛藤を描いた作品。彼の視点から事件の背景や動機が語られます。 - 元となった事件・背景
2007年に千葉県で発生した「市川市イギリス人女性殺害事件」を基にしています。英会話講師の女性が殺害され、犯人の市橋達也は2年7ヶ月にわたる逃亡生活の末に逮捕されました。映画は彼の逃亡生活を中心に描いています。

Lemino
12. 『生きてみたいもう一度 新宿バス放火事件』(著:杉原 美津子/1983年)
- 作品のあらすじ
新宿で発生したバス放火事件を題材に、加害者と被害者、その家族たちの苦悩や再生を描いた社会派ドラマ。事件の背景や社会問題に鋭く切り込んでいます。 - 元となった事件・背景
1980年に東京都新宿区で発生した「新宿西口バス放火事件」を基にしています。この事件では、バス車内で放火が行われ、多数の死傷者を出しました。映画は事件の詳細や関係者の心情を深く掘り下げています。


U-NEXT
https://video.unext.jp/title/SID0096059
13. 『コンクリート』(著:渥美 饒児/2003年)
- 作品のあらすじ
女子高生が誘拐・監禁され、凄惨な暴行を受けた末に殺害されるという事件を描いた衝撃的な作品。加害者たちの異常性や被害者の苦悩がリアルに描かれています。 - 元となった事件・背景
1988年に東京都で発生した「女子高生コンクリート詰め殺人事件」を基にしています。この事件では、女子高生が複数の少年たちにより誘拐・監禁され、40日以上にわたり暴行を受けた末に殺害され、遺体がコンクリート詰めにされました。映画はこの事件の詳細を忠実に再現しています。
※原作『十七歳、悪の履歴書: 女子高生コンクリ-ト詰め殺人事件』


14. 『子宮に沈める』(監督:緒方貴臣/2013年)
- 作品のあらすじ
母親が幼い子供たちを自宅に放置し、結果として子供たちが餓死するという悲劇を描いた社会派ドラマ。母親の心理や社会の無関心がテーマとなっています。 - 元となった事件・背景
2010年に大阪市で発生した「大阪2児放置死事件」を基にしています。この事件では、母親が幼い子供2人を自宅に放置し、子供たちは餓死しました。映画はこの事件を通じて、育児放棄や社会的孤立の問題を問いかけています。

Hulu
https://www.hulu.jp/sunk-into-the-womb
15. 『先生を流産させる会』(監督:内藤瑛亮/2011年)
- 作品のあらすじ
中学校で妊娠中の女性教師に対し、生徒たちが悪意をもって「先生を流産させる会」を結成。食事に異物を入れるなど、いじめの枠を超えた暴力的な行動がエスカレートしていく。教師、生徒、学校、それぞれが“誰も止められない現実”を見て見ぬふりをする。社会の病理を鋭く描いた作品。 - 元となった事件・背景
2009年、愛知県の中学校で、女子生徒が担任の妊娠中の女性教師に対して「先生を流産させる会」と称したいじめを行っていたことが判明。異物混入、嫌がらせ、暴言などが繰り返され、当時大きな波紋を呼んだ。映画はこれをモチーフに、教育現場のいじめのリアルと集団心理を赤裸々に描いている。
前編では、衝撃的な事件から生まれた15の作品を紹介しました。
知っている作品も、実際の事件背景を知ることで「もう一度観たい」と思った方もいるのでは?
次の【後編】では、さらにディープな15作品をご紹介します。
引き続き、「実話」の深淵をのぞいていきましょう。
