「このまま定年まで働くの、正直キツい」
そう思い始める40歳前後。
中古マンションを一括購入して、あとは少し働きながら自由に暮らす──
そんな“セミリタイア生活”、“FIRE生活”は、現実的に可能なのか?
今ある数字で、ちゃんと計算してみた。
生活費や税金など、固定費はいくら?
【前提条件】
- 40歳
- 中古マンションを一括購入(住宅ローンなし)
- 1人暮らし・地方あるいは都市部の郊外(例:東京23区外や政令指定都市の郊外)
- 車なし
- 仕事はせず年収ゼロの場合
【固定費の内訳(毎月・年間)】
項目 | 月額目安 | 年額目安 | 補足・備考 |
---|---|---|---|
管理費 | ¥10,000 | ¥120,000 | マンション一括購入後も継続 |
修繕積立金 | ¥10,000 | ¥120,000 | 年々上昇する場合あり |
固定資産税 | ¥8,000 | ¥96,000 | 所有物件の価値により上下 |
健康保険料(国民健康保険) | ¥10,000 | ¥120,000 | 所得が低ければ軽減される(所得ゼロなら最安) |
国民年金保険料 | ¥17,000 | ¥204,000 | 60歳未満は強制、60歳以降は任意加入 |
介護保険料 | ¥6,000 | ¥72,000 | 65歳以上は強制徴収。自治体で異なるが目安は月6千円前後 |
住民税(均等割) | ¥2,000 | ¥24,000 | 所得ゼロでも均等割はかかる自治体あり(非課税世帯なら0円) |
電気・ガス・水道 | ¥12,000 | ¥144,000 | 季節変動あり |
通信費(スマホ+ネット) | ¥6,000 | ¥72,000 | 格安SIM+ネット回線など |
食費 | ¥30,000 | ¥360,000 | 自炊メイン想定 |
日用品・雑費 | ¥8,000 | ¥96,000 | 医療・交際・衣類含む最低ライン |
合計 | ¥119,000 | ¥1,428,000 | ざっくりなので、この金額が最低ラインとする。 |
補足
- 年金受給開始(65歳以降)で国民年金の支払いがなくなれば、月9万円前後に圧縮可。
- 旅行・医療費・趣味・予備費を入れると+月2〜5万円は見たほうが安心。
- 家の更新費用(リフォームなど)は別途10〜20年単位でまとまった支出があり得る。
- 固定資産税は築年数や地域によって変動。
月いくらの収入が必要か?
先ほどの表をご覧いただくと分かるように、
最低限の生活を送るためには、月12万円・年間150万円程度は必要になります。
しかし、現実的には物価高や突発的な支出もあることから、
月15万円・年間180万円ほどの収入があると安心です。
さらに言えば、趣味や交際費、予備費なども含めて、
精神的にもゆとりのある生活を送りたいなら、月20万円・年間240万円を目指すのが理想的です。
スタイル | 月額 | 年額 | コメント |
---|---|---|---|
最低限必要 | ¥119,000 | ¥1,428,000 | ほんとギリギリ。貧しい生活 |
やや余裕あり | ¥150,000 | ¥1,800,000 | 趣味・外食・医療等も含める |
快適生活ライン | ¥200,000 | ¥2,400,000 | 毎月少し貯金も可能レベル |
◼︎資産運用せずに貯金だけで回す場合
中古マンションを一括購入したうえで、
資産運用は行わず、貯金を切り崩して生活していく場合、
残りの貯金額によって「働かなければならない年数や負担の大きさ」が大きく変わってきます。
生活費すべてを貯金でまかなうとなると、
月20万円の支出だけでも年間240万円。
10年間で2,400万円が消える計算です。
つまり、資産を減らさずに生活することはできないため、
「あと何年働く必要があるか?」を見極めることが、
セミリタイア設計において極めて重要なポイントになります。
①貯金0〜数百万円程度
=【フルタイム労働・ノーリタイア】
年齢 | 状況 |
---|---|
40歳 | セミリタイア??開始(労働ありなのでノーリタイア) |
〜65歳 | 月20万円の生活費をすべて労働収入でまかなう |
65歳以降 | 公的年金の受給開始。ここで不労所得(年金)が入る |
【月20万円 × 12ヶ月 × 25年】=毎年働いて稼ぐ!
- フルタイムではないとしても、年240万円を稼ぎ続ける必要がある
- たとえば、月20日×日給1万円=月20万円 であれば実現可能
👉 つまり、「貯金はほぼないけど、働き続けることでセミリタイアする」というスタイル
※結局ほぼフルタイム働く必要があるのでセミリタイヤではない。
65歳以降は年金だけで足りるのか?
- 国民年金のみ:月6.5万円(満額)
- 厚生年金を払っていれば:月13〜18万円の人も
- → 年金だけで生活するのはやや厳しい人も多い
👉 なので、65歳以降も月5万円前後の副収入や貯金があると安心
あるいは65歳までに1,000万円〜2,000万貯めておく
65歳までに1,000万円〜2,000万貯めるには?(40歳〜25年間)
総貯金額目標 | 毎月の貯金額(25年積立) |
---|---|
1,000万円 | 月約33,400円 |
1,500万円 | 月約50,000円 |
2,000万円 | 月約66,700円 |
- 月20万円からいきなり月3〜6万も貯金するのはきつい
- だからこそ:
- 通信費・住居費などを極限まで節約する
- 稼ぐ額を月22〜23万円くらいまで少し増やす
- 副業やポイント運用も駆使する
ってことは、結局正社員やフルタイムで働くことが必要!
②貯金4,500万〜5,500万円
=【週3〜4ゆるバイト・セミリタイア可】
年齢 | 状況 |
---|---|
40歳 | セミリタイア開始(ゆるく働く) |
〜65歳 | バイトで月8万円程度を稼ぎ、残りは貯金で補う |
65歳以降 | 年金の受給開始。不労所得(公的年金)が入る |
【週4日×4時間×時給1,200円】=月いくら稼げる?
👉 つまり、生活費月20万円とすると:
- 月8.2万円はバイトでカバー
- 残りの月12万円を貯金で補う必要がある
【月12万円 × 12ヶ月 × 25年間】=40歳時、いくら貯金が必要?
- 12万円 × 12ヶ月 × 25年 = 3,600万円
👉 完全労働型(0円)と貯金だけ型(7,000〜8,000万円)のちょうど中間
でも現実には4,500万〜5,500万円あったら資産運用するかな。
③貯金7,000〜8,000万円
=【働かずフルリタイア可】
年齢 | 状況 |
---|---|
40歳 | セミリタイア開始 |
〜65歳 | 国民年金の加入終了年齢(支払い終わり) |
65歳以降 | 年金の受給開始年齢(原則) ← ここからは不労所得(公的年金)が入る! |
【月20万円の生活費 × 25年間】=いくら必要?
月20万 × 12ヶ月 × 25年 = 6,000万円
👉 これが全く働かず、「40歳でセミリタイアして、65歳から年金を受け取るまでに必要な貯金額(最低ライン)」。
その後(65歳〜)は年金で足りるのか?
これは人によるけど、ざっくり:
- 国民年金のみ:月6.5万円前後(満額で)
- 厚生年金あり:月13〜18万円ほどの人もいる
- よって、年金のみで「月20万円」はやや厳しい
→ だから、65歳以降も月5万円くらいの補助が必要な場合がある
(=セミリタイア後も、多少の副収入や資産の残りが必要)
【まとめ】貯金だけでフルリタイア、働かない場合
項目 | 金額 |
---|---|
40〜65歳(25年間) | 6,000万円必要 |
65歳以降に備えて+α | 1,000万円〜2,000万円程度あれば安心 |
結論:40歳の時点で | 7,000万円〜8,000万円 |
つまり、40歳でセミリタイアを完全貯金で目指すなら、7,000〜8,000万円は欲しいラインってこと。
それってだいぶ無理な感じというか、7,000〜8,000万円あったら資産運用するかな。
◼︎資産運用する場合 FIRE
ある程度まとまった貯金がある場合は、
資産運用を併用して生活費の一部を補うのが、現実的で効率的な選択肢になります。
仮に年利4%で安定的に運用できたとすると、
その運用益だけで生活費の何割をまかなえるかが重要な判断基準になります。
たとえば生活費が月20万円として、
残りの不足分を時給1,200円のバイトでどれだけ働いて補えばよいのか、
資産額ごとにシミュレーションしてみると、
「資産×働き方のバランス」から、最適なセミリタイア戦略が見えてきます。
①資産運用+ゆるバイト?等
で月20万円を確保する場合
(年利4%、時給1,200円/40歳でスタートした前提)
資産額 | 月の運用益 | 不足額 | 必要バイト時間(月) | バイト時間(週) | フルリタイア可能目安 |
---|---|---|---|---|---|
500万円 | 約16,667円 | 約183,333円 | 約152.8時間 | 約35.5時間 | ほぼ不可(常勤労働と同等) |
1,000万円 | 約33,333円 | 約166,667円 | 約138.9時間 | 約32.3時間 | 70歳近くでも厳しい |
1,500万円 | 約50,000円 | 約150,000円 | 約125.0時間 | 約29.1時間 | 65〜70歳以降が目安 |
2,000万円 | 約66,667円 | 約133,333円 | 約111.1時間 | 約25.8時間 | 65歳前後 |
2,500万円 | 約83,333円 | 約116,667円 | 約 97.2時間 | 約22.6時間 | 60代前半でも可視化される |
3,000万円 | 約100,000円 | 約100,000円 | 約 83.3時間 | 約19.4時間 | 60歳前後に現実味あり |
3,500万円 | 約116,667円 | 約83,333円 | 約 69.4時間 | 約16.1時間 | 55〜58歳前後が目安 |
4,000万円 | 約133,333円 | 約66,667円 | 約 55.6時間 | 約12.9時間 | 52〜55歳ごろ |
4,500万円 | 約150,000円 | 約50,000円 | 約 41.7時間 | 約 9.7時間 | 50〜52歳ごろ |
5,000万円 | 約166,667円 | 約33,333円 | 約 27.8時間 | 約 6.5時間 | 48〜50歳ごろ |
5,500万円 | 約183,333円 | 約16,667円 | 約 13.9時間 | 約 3.2時間 | 45〜48歳ごろ |
6,000万円 | 約200,000円 | 0円 | 0時間 | 0時間 | 今すぐOK(40歳) |
この表だとあくまで、月20万の足りない部分だけを働いた場合 なので、あまり参考にはならないだろうと思った。
つまり資産2,000万円あっても月20万の労働をすれば、全然変わってくるので現実的ではない。
次が参考になるだろう。
☆②月20万円の支出=働いてカバー☆
→貯蓄を資産運用に回す場合
(年利4%、月20万の労働で支出を全てカバー、40歳でスタートした前提)
スタート資産運用(40歳) | 資産(45歳) | 資産(50歳) | 資産(55歳) | 資産(60歳) | 資産(65歳) | 老後に十分 |
---|---|---|---|---|---|---|
100万円 | 約122万円 | 約148万円 | 約181万円 | 約219万円 | 約267万円 | × |
200万円 | 約244万円 | 約296万円 | 約362万円 | 約438万円 | 約533万円 | × |
300万円 | 約366万円 | 約444万円 | 約543万円 | 約657万円 | 約800万円 | × |
400万円 | 約487万円 | 約592万円 | 約724万円 | 約876万円 | 約1,066万円 | × |
500万円 | 約609万円 | 約740万円 | 約905万円 | 約1,096万円 | 約1,333万円 | × |
600万円 | 約731万円 | 約888万円 | 約1,086万円 | 約1,315万円 | 約1,599万円 | × |
700万円 | 約853万円 | 約1,036万円 | 約1,267万円 | 約1,534万円 | 約1,866万円 | × |
800万円 | 約974万円 | 約1,184万円 | 約1,448万円 | 約1,754万円 | 約2,132万円 | ◯ |
900万円 | 約1,096万円 | 約1,332万円 | 約1,629万円 | 約1,973万円 | 約2,399万円 | ◯ |
1,000万円 | 約1,217万円 | 約1,480万円 | 約1,811万円 | 約2,192万円 | 約2,666万円 | ◯ |
1,100万円 | 約1,339万円 | 約1,628万円 | 約1,992万円 | 約2,411万円 | 約2,932万円 | ◯ |
1,200万円 | 約1,460万円 | 約1,776万円 | 約2,173万円 | 約2,630万円 | 約3,199万円 | ◯ |
1,300万円 | 約1,582万円 | 約1,924万円 | 約2,354万円 | 約2,849万円 | 約3,466万円 | ◯ |
1,400万円 | 約1,703万円 | 約2,072万円 | 約2,535万円 | 約3,069万円 | 約3,732万円 | ◯ |
1,500万円 | 約1,825万円 | 約2,220万円 | 約2,716万円 | 約3,288万円 | 約3,999万円 | ◯ |
1,600万円 | 約1,946万円 | 約2,368万円 | 約2,897万円 | 約3,507万円 | 約4,265万円 | ◯ |
1,700万円 | 約2,068万円 | 約2,516万円 | 約3,078万円 | 約3,726万円 | 約4,532万円 | ◯ |
1,800万円 | 約2,190万円 | 約2,665万円 | 約3,259万円 | 約3,946万円 | 約4,798万円 | ◯ |
1,900万円 | 約2,311万円 | 約2,813万円 | 約3,440万円 | 約4,165万円 | 約5,065万円 | ◯ |
2,000万円 | 約2,433万円 | 約2,961万円 | 約3,621万円 | 約4,384万円 | 約5,332万円 | ◯ |
どうだろうか。40歳時に800万の貯金があり、全て資産運用に回せば月20万の仕事でもなんとかなるという試算だ。
ただ20万では運用に回す資産が増えることがないので、
個人的には月40万の収入で、毎月20万を支出&余りを貯金、毎月20万を資産運用に回し続けるとリタイア可能時期が加速するのでおすすめだ。(年収手取り480万、年240万支出&貯金、年240万資産運用にプラス的な。)
注意したいのは
・物価高やインフレによってはもっと必要になる
・資産運用はマイナスになる可能性もあること
・貯蓄の全てを資産運用に回すよりは貯金の割合も考えること
ある程度見通しが立つまでは、正社員として高い年収を確保しつつ貯金と資産運用をしながら浪費をせずに慎ましく生きることが賢い選択だ。
③貯金6,000万円
=資産運用のみ、フルリタイア可
前提
- 月20万円 × 12ヶ月 = 年240万円の不労所得
- この金額を資産の利回りだけで生み出す(元本は減らさない)
年利ごとの必要資産額
想定利回り(年利) | 年240万円を得るのに必要な資産額 |
---|---|
3% | 8,000万円 |
4% | 6,000万円 |
5% | 4,800万円 |
6% | 4,000万円 ←かなりハイリスク運用領域 |
📌現実的ラインは?
- インデックス投資(米国ETFなど):年利3〜5% が現実的ライン
- 4%で見積もると6,000万円あれば → 「元本に手をつけず、月20万の完全不労所得」が可能!
まとめ(40歳のセミリタイアは現実的ではなかった)
セミリタイア──
それは誰もが一度は憧れる「自由な生活」だ。
仮に40歳で中古マンションを一括購入した後、貯金3,000万円。
まずこれだけでもごく少数しかいないわけだが、
それでも資産運用で月10万円、残りはバイトで週20時間働く必要がある…。
でも、それを60歳まで“毎週20時間”続けるって、本当に現実的なのだろうか?
病気、親の介護、心の疲れ。
「フルタイムよりはマシ」でも、それは本当に“自由”と呼べるのか?
セミリタイアは、夢ではない。
だけどそれは、「ちょっと働かなくて済む」くらいの生活。
一切働かずに生きていくには、もっと桁違いの資産が必要だという現実も、忘れてはいけない。
それでも「人生をどう使うか」は、自分で選んでいい。
セミリタイアに向き合うということは、“本当に大切なもの”に気づく作業なのかもしれない。
結論としては、中古マンションを購入したうえで、
正社員として働き続け、65歳で退職金込みの貯金2,000万円を確保する──
これが最も安定的で“現実的なルート”なのかも。(つまりセミリタイアなし、定年まで働く。)
なんとか切り詰めたとしても、55歳でのセミリタイアを目指すとして、
退職金を含めて3,000万円程度貯金→資産運用しながら65歳まで生活 が“限界ライン”になる可能性が高い。
セミリタイアすると減る厚生年金と退職金は老後の資金に超影響!