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転職クエスト①:社外と社内にモンスター降臨!製菓メーカー営業マンの苦悩

かつてはベーシックであった終身雇用制度だが、今の時代新卒から定年まで同じ会社で働き続ける人はどれだけいるのだろうか。転職を一度も経験していない人の方が珍しいのではないか。

パワハラやモラハラが横行し、過労死や自殺に追い込まれる程の劣悪な環境の会社も少なくないこのご時世、ストレスの少ない別の会社で働きたいと思うことも自然だ。

実は私はジョブホッパーとは言わないまでも、三社の転職経験がある。結論からいうとどの会社においても何かしらの不満・不条理を抱いた。そこで今回は、それらがどのようなものだったのかをご紹介しよう。まずは一社目メーカー営業マンを転職した話。

 

ジョブ①製菓メーカー営業(2012年4月~2014年7月)

志望動機:『知っている会社だったから。』

大学卒業後、とある製菓メーカーへ新卒採用で入社した。志望動機はそのメーカーのお菓子が好きで携わりたかったというなんとも薄っぺらい理由であった。

実際どうしても入りたかったというわけではなく、60社ほど落ちた後にたまたま求人サイトで募集を見掛け、「お、そこそこ有名な会社だから知ってるぞ。将来性や待遇の面で安心ではないか。」という理由だけで応募したようなものだ。

そんな志であった為、熱意もなく自分でも採用されたのが不思議な位であった。(60社も落ちていたので、やさぐれていた。)後日談で聞いたのだが、筆記試験の成績がトップだったらしいのでそのおかげかもしれない。(面接は苦手であり勉強だけは割としていた。)

研修1:『新人なら30分前出勤当たり前だろ?』

無事入社を果たすとすぐに研修期間へ入った。合計三ヶ月。まず最初の一ヶ月は新入社員基本研修。会社の部署や各職種についての詳しい説明、名刺交換やマナー研修なんていうのもあった。どこの会社もあるのだろうか?知識が身に付けられてよかったと思っていた。

だが不満はあった。噂には聞いていたが謎の30分前出勤強制(もちろん早出はつかない。)と、退勤後に課せられる強制日報(もちろん残業はつかない。)の二つだ。

『俺達もやって来た。』『新人なら当たり前だろ?』と、さも常識かのように語る人事部であったが、彼らは悪しき風習を改善しようとは思わないのだろうか。私は定時から働くのが正しいと思っているが、せめて5分前出勤で良かったのではないか。

研修2:『タイムカードは切ってからな。』

次の一ヶ月は、お菓子の製造工場での実習だった。実際に作業ラインに立ち、やたら低いベルトコンベア(従業員の大部分を占めるパートのおばちゃんの身長に合わせてある)から流れてくるお菓子の検品やら箱詰めやらをやった記憶がある。一日中立ちっぱなしで作業するため完全に体力仕事だった。八時間作業した後はタイムカードを切る。

がしかし、それで帰れるわけではなかった。工場における改善案を話し合い、効果を検証し発表の日までにまとめなければならなかったのだ。その為に毎日残業をせざるを得なかった。

人事部は言う『タイムカードは切ってからな。』。そもそも新入社員に改善案が見つけられたら、今まで貴様らは何していたんだ?と思わないのだろうか。疲れ果てた中で何故そんなことをしなければならないのか、会社からの指示でやらなくてはならないのに何故サービス残業なのか甚だ疑問であった。それでもやり遂げた。

研修3:お局様降臨。『あんたは外の掃除してて。』

最後の一ヶ月は、店舗実習。この会社は洋菓子事業も展開しており、いわゆるケーキ屋さんでの研修だ。私は忙しいと言われる店舗に配属されたが、実際はとてつもなく暇であった。ひたすら掃除をやらされた記憶がある。そこの店長を務めていたおばさんはいわゆるお局様。皆が気を使っているのがわかったし、機嫌が悪いときにはこっちにもとばっちりが来てストレスであった。何故顔色を伺いながら仕事をしないといけないのか不満であった。

そんなある日5分程遅刻してしまった。もちろん連絡は入れたし、出勤してからも謝った。それでも朝からお局様は激怒。私は恐る恐るその日の指示を仰いだ。

『本日は何をしましょうか。』お局は一言。『あんたは外の掃除してて。』

店は郊外にある店舗なんだがその日は炎天下の中、一日中外の掃除をしていた。もちろんお局はクーラーの効いたバックオフィスで一日中座ってサボっていたのを知っている。

営業配属:いきなりの担当持ち&引き継ぎ

と、研修期間から社会の理不尽を感じていたわけだが、そんな私もついに配属が決まる。『営業』だ。縁もゆかりもない関西支店へと飛ばされた。新入社員の営業は皆出身地から離れた場所へ飛ばされていた。これは簡単に辞めて転職活動出来ないようにした会社の陰謀だろう。支店は私を入れて営業五人+事務員二人という少人数であった。

まず想定外のことが起きた。右も左もわからない新人なので当然慣れるまでは先輩の同行をしつつ勉強だろうと思っていた。しかし、待っていたのはいきなりの担当持ち&引き継ぎ。私が来ると同時に一人は他支店へと異動になってしまったのだ。

おかしいと思わないだろうか?異動になったのは若手とはいえ5年目程の先輩。その代わりに来たのが新入社員の私だ。どうみても等価交換ではない。他の支店に配属された新入社員にきいてもいきなり担当を持ったものはいなかった。実は私が前述した筆記試験の成績がトップだった為、出来るやつと思われこの支店に配属されてしまったのだ。

社外でのヒエラルキー=営業は最下層『死んでも持ってこい。』

とはいえ、やらなければならなかったので必死に頑張った。主な仕事内容としては、各スーパーのバイヤーへの新商品案内やフェアの提案といった商談、年に数回ある食品展示会への参加と商品アピールなどだ。配属されてから2年、途中で担当も増えたりと大変になりながらもなんとかやり遂げていた。

しかしその時には理不尽に思ったことが二点あった。まず一点は社外での商談相手とのパワーバランスが想像以上に悪いこと。

スーパーのバイヤー>>問屋>>メーカー

問屋というのは、各メーカーの商品をスーパーへまとめて納品する仲介業者のことだ。バイヤーには問屋もメーカーもなにもいえない。例えば年に数回店頭でのお菓子の配置を替える、棚替えの時期があるのだが、その際には朝早くから各メーカーは呼び出しをくらい手伝わされる。新店や改装の時も呼び出され手伝わされる。『(お前のところの商品発注してるし)当然来るよね?』と言った圧力を感じ断れないのだ。

そして問屋はスーパーのバイヤーへ物凄く媚を売る。メーカーが聞いていない納価の値下げの話も平気で進め、値引きしてくる。犯罪といってもいいくらいだ。しかし言った言ってないになると水掛け論になり、どうしても立場の弱いメーカーが負けてしまう。

そして最悪なのが欠品したときだ。四六時中電話がなり、まるでヤ○ザのような口調で彼らは言うのだ。『死んでも持ってこい。』『用意できたのか?はやくしろ。』

社内でのヒエラルキー=営業は最下層『いいからやれ。』

もう一点、ヒエラルキー最下層は社外だけではない、社内においてもメーカーの営業は一番無茶ぶりされるのだ。その当時は消費税が8%に上がった年であった。無論消費は落ち込む。さらに利益改善も要求される、今まで先人たちが下げに下げた納価をいきなり戻せるわけがなかった。なのに前年よりも売り上げも利益も作れと命令を出す。目標にする事態はいい、企業である以上、成長を止めてはいけないからだ。

しかしその為の会社全体としての戦略がまるで立っていないのに腹が立った。例年通りでは例年通りの売り上げにしかならないのは当然。であるならば、売り上げを作るための武器がなければ営業は戦えない。武器とは製菓メーカーの場合、魅力的な新商品であったり、画期的なCMやキャンペーンといった販促だろう。何もなしに前年以上に注文してくれるほど甘くはないのだ。それなのに全ての責任を営業に擦り付けるのはどうなのだろうか。論理的に疑問をぶつけてもいつも返ってくる言葉はこうだ。

『いいからやれ。』『必死にお願いしてこい。』

上層部の人間は現状を何も知らない。人工増加とバブルがはじけるまでの好景気によって何の努力もせずとも前年比を越える売上を達成できた『ものが売れる時代』を、己の実力だと勘違いしているのだ。

そんなこんなで私は営業に嫌気がさし、部署異動願いを出した。営業の武器を作る販促事業にいきたいと。古い会社だったのでウェブでの販促が弱かったし情報発信していくべきと考えていた。しかし呆気なく却下。どころか、『この先営業から異動はない』とまで言われ、その日のうちに辞意を伝え、晴れて退職へと至ったのであった。

“石の上にも3年” とは言うが、3年も我慢する必要はない。むしろ”思い立ったが吉日”。やってられないと思ったら即座に転職を考えるべし。

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