若者の理想的仕事「基本暇&高給&やりたい事だけ&責任は取らない」
内閣府は、定期的に「青少年に関する調査研究等」を行っており、その調査結果を公表している。
ただほとんどの人は目にしていないのではないだろうか?
せっかく調査をし公表しているのに、知らないというのはもったいない。財源は我々の納めている税金なのだからもっと知るべきである。
なので私は、より多くの人々に調査結果を知ってもらう為にこの記事を書くとしよう。
今回は、「子供・若者の現状と意識に関する調査(平成29年度)」を自身の解釈と見解を入れて読み解いていく。
「子供・若者の現状と意識に関する調査」ってなに?
2017/10/27 ~ 11/13に全国の16 歳 ~ 29 歳までの男女1000人強に行ったインターネット調査。
子供・若者が働くことをどう捉え、職業選択に際してどのような条件を重視しているのか、将来に対してどのような展望を持っているのか、また、就労に関する相談先やキャリア教育をどのように評価しているのかなどについて調査したもの。
若者にとっての仕事の目的とは?
1位:収入を得るため(84.6%)
2位:仕事を通して達成感や生きがいを得るため(15.8%)
3位:自分の能力を発揮するため(15.7%)
4位:働くのがあたりまえだから(14.8%)
5位:人の役に立つため(13.6%)
6位:社会的な地位を得るため(7.0%)
7位:親やきょうだいを養うため(4.6%)
これはもう圧倒的。1位と2位とで雲泥の差があるのがお分かりだろう。
八割以上の人は、収入を得るためと応えている。
つまり、金、これこそが働く意味として若者は捉えているのだ。
よく日本の面接では、志望動機を深く掘り下げるところが多いが、「金を稼ぐため」8割以上がこう思っているのだ。
逆にそんなことを言えば白い目でみられるだろうが、私が経営者なら少なくとも正直な人だという印象を受ける。
裏を返せば、金さえあれば働きたくない、働かないと思っている人が大半ということではなかろうか。
仕事選択時の重要な観点
1位:安定していて長く続けられること(88.7%)
1位:収入が多いこと(88.7%)
3位:自分のやりたいことができること(88.5%)
4位:福利厚生が充実していること(85.2%)
5位:自由な時間が多いこと(82.2%)
6位:自宅から通えること(80.3%)
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11位:社会的評価の高い仕事であること(57.2%)
12位:特別に指示されずに、自分の責任で決められること(55.8%)
13位:実力主義で偉くなれること(51.6%)
80%越えの、仕事選択時の重要な観点 をまとめると、
「自宅から近くて、基本暇で、福利厚生が充実してて、給料は多くて、嫌な仕事はやりたくなくて、(左記故に)安定して長く続けられるところないかな~。」
・・・・。
こんな会社あるかぁぁ。まぁこんな選択肢を用意して複数選択ありなら誰しもがそりゃぁ選択するだろう。
この質問は、そもそもいずれか一択回答にすべきだろ内閣府さん。
逆に言うと、複数選択可能にもかかわらず、60%の支持率だった11位~13位の方が注目すべきかもしれない。
11位:社会的評価の高い仕事、これは一般的には医師や弁護士などの国家資格を必要とする職業といって良いのではないだろうか。
一般企業で社会的評価の高い仕事といったら、インフラ系だろうか。
いずれにしてもあまり社会的評価というものは仕事において気にしていないともいえる。
12位:特別に指示されずに、自分の責任で決められること、こちらが低いのに、3位:自分のやりたいことができること(88.5%)が多いということから、「自分のやりたいようにしたい。でも責任が伴うことはごめんだ。」という考えが見えてくるのは私だけだろうか。。
これは、13位:実力主義で偉くなれること、が低いこととも繋がっている。出世をすれば当然責任も高くなってくる。しかし自分の裁量である程度決定できることも増えてくる。(やりたいようにやれる。)だがこちらも低いということは、責任を取るを避ける傾向が高いといえるのではなかろうか。
希望する雇用形態
1位:「正規雇用(常勤)」(76.0%)
2位:「非正規雇用(パート、アルバイト、労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員、嘱託等)」(16.7%)
3位:「自営業・自由業」(6.8%)
1/6は非正規でも良いという考え方は、現代ならではといえるのではなかろうか。
昔は正規でないと、社会人とはいえないという固定観念があったと思う。
しかし現代では、非正規として働いている人間も少なくなく、働き方として一定数の希望もまたあるのだろう。
3位の割合は、起業しにくい日本を象徴していることだろう。起業でなくともフリーランスとして働くことも、まだまだ日本では異端と見られていることが影響しているのではないか。
転職に対する意識
1位:「自分の能力や適性に合わない職場ならば、転職することもやむをえない」(36.7%)
2位:「自分の能力や適性に合わない職場ならば、転職する方がよい」(25.4%)
3位:「自分の能力や適性に合わない職場であっても、転職はできる限りしない方がよい」(11.8%)
4位:「自分の能力や適性に合う職場を求めて、積極的に転職するべきである」(10.0%)
転職に関して、若者の意識は前向きであるといえる。
逆に考えれば、20代のうちに能力や適性を見極めることこそ、失敗しない転職になるといえる。
能力や適性ってなんだよと考えたら、「何を得意とし、効率的にこなせるか?」ではないだろうか。
転職時のワークライフバランス
1位:「自分の興味ややりたいことが、賃金や労働条件より、どちらかといえば重要」(34.0%)
2位:「賃金や労働条件が、自分の興味ややりたいことより、どちらかといえば重要」(32.2%)
3位:「自分の興味ややりたいことが、賃金や労働条件より、とても重要」(15.4%)
4位:「わからない」(10.6%)
5位:「賃金や労働条件が、自分の興味ややりたいことより、とても重要」(7.8%)
この項目を見て、私は思った。
<さっき仕事選択時の重要な観点で、収入が一番だといっていたじゃないか!!>
困惑した。一体どうなっているのだこの回答者たちは。
逆説的に考えよう。
「金が一番だとはいったけど、やりたくないことはやらない!」
こういった思想なのだろう。
フリーターに対する意見
1位:「自分がやりたいことを探すにはいいことだ」(74.0%)
2位:「フリーターであると、後々まで不利だ」(73.3%)
3位:「誰でもフリーターになってしまうかもしれない」 (70.1%)
4位:「フリーターも立派な働き方である」(60.7%)
5位:「働き口が減っているので仕方ない」(60.5%)
6位:「夢を実現するためなら、格好いい」(60.0%)
7位:「本人が無気力なせいだ」(40.6%)
うん、まず選択肢がなんか上から目線な印象を受けるのは私だけだろうか。
基本的には、正規に比べて非正規を下に見ているような選択肢だ。
まぁ実際そう思っている人が多いのだと思うが、内閣府さんが作成するのはまずいよね。
この意識こそが雇用問題の核だと私は思っている。
というのも正規と非正規で待遇面にて差がありすぎる、だから非正規がいつまで経っても社会的に認められないのだ。
業務内容がほとんど同じ、働いている時間も同じ、なのに給与の面では差がつく。これって普通におかしいよね。
働き方改革って実はここの差をどうするかが一番肝なのではないかな。
以上、公的データからみた若者の仕事に対する意識でした。
私の印象としては、若いゆえに理想が高く甘さ全開の回答だったなと思った。
前述したが、
「自宅から近くて、基本暇で、福利厚生が充実してて、給料は多くて、嫌な仕事はやりたくなくて、(左記故に)安定して長く続けられるところないかな~。」
こんな理想は捨てたほうが良いだろう。